公益財団法人 ハイパーネットワーク社会研究所

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企業交流イベント 福岡プレイベント(11/18)の開催内容

ITアイランドとして姫島を活性化させるため、12月8日の姫島でのワークショップのためのプレイベントが福岡市内に大分県が開設したコワーキングスペースで行われました。
10月29日(木)に東京プレイベント①がオンラインで行われましたが、本イベントは「シビックテックと島テック(Code for Fukuoka × Code for Islands)」がテーマとなっています。大分県や姫島の現状を紹介しつつ、離島での生活とはどういったものなのか、という切り口で参加者たちがディスカッションを重ねました。
ITアイランド構想は着実に進んでいますが、現状はどんな課題があるのでしょうか。ここでは、福岡プレイベントの内容を紹介していきます。

【第1部】離島の抱える課題点とは


はじめに、ITアイランドの舞台である姫島の村長・藤本昭夫氏が登壇されました。なんと、藤本氏は10期目の村長戦に勝利し、九州の現役首長として最多の当選者になったようです。

村長として長きにわたって姫島に尽くしてきた藤本氏から、姫島の現状について解説していただきました。そもそもITアイランド構想は、離島を舞台に新しい雇用の形を創り、地元の活力を高めるために誕生したプロジェクトです。後ほど詳しく紹介しますが、姫島では株式会社ブレーンネットとRuby開発株式会社の2社が進出しており、システムやソフトウェア開発といったIT関連の事業を同地にて展開しています。いくつかの企業が参入しているからといって、姫島での新しい雇用の創出が順調というわけではありません。すでに姫島へ移住された民間企業の方を含め、インフラの整備や雇用機会の創出だけでなく、地域民や島外の方などの民間の力が必要なのです。

姫島村・大分県(本イベント主旨含め)紹介

本題に入る前に、今回の福岡プレイベントに参加された方たちがどのように姫島と関わっているのかを紹介します。

dot.の紹介


大分県は、UIJターン促進のための拠点として「dot.」をオープンしました。そして、大分県大分市に本社を置く株式会社HAB&Co.が、この施設を運営しています。

・コワーキングスペース&カフェ
・大分県出身学生の就職支援
・Uターン機会の創出

「dot.」には上記のような狙いがあり、大分の企業や先輩などと交流をすることで大分について知り、戻って来てもらう機会を生み出しています。2,000人以上の会員数を誇り、延べ利用者15,000人以上。法人会員は77社ですが、現在も募集を受け付けています。
株式会社HAB&Co.で役員を務める森裕太氏、高山悦郎氏、原山拓也氏の3名はいずれも大分県出身者。大分の地で生まれ育ち、県内を活性化させるための環境を整えています。

姫島村の紹介① 青木栄二氏(ハイパーネットワーク社会研究所所長)


東京プレイベントのオンラインでも登壇されていた、ハイパーネットワーク社会研究所の青木氏は、2019年の年末に姫島へと移住しました。
最近は姫島に伝わる七不思議に興味が出てきたそうです。七不思議の一つである千人堂には、黄金の馬頭観音像が祀られていますが、その下には黒曜石が眠っているのも姫島の見どころ。姫島の黒曜石産地は国の天然記念物にも認定されています。産地といえば、車海老も見逃せません。規模と生産量が国内屈指と言われ、自然の恩恵を受けて育った車海老は絶品だと言われています。
姫島でのITアイランド構想については、IT企業誘致を目的にコワーキングスペースやサテライトオフィスが運営されています。このほかにもイベントを開催し、リモートワーク体験やITアイランドセミナー、小学生プログラミング体験など、島民向けのコンテンツを展開しています。

姫島村の紹介② 株式会社ブレーンネット 松井良友氏(部長)


冒頭でも紹介した株式会社ブレーンネットは、システム開発やインフラサービス、移動体通信、IT人材派遣・人材紹介、技術研修といった事業を行なっています。社内の姫島関係者の存在や、姫島ITアイランド構想への関心、地方の魅力ある仕事を若者に生み出し都市圏以外の人材採用を実施といった観点から、姫島にサテライトオフィスを設置しました。
姫島での生活は、不便さがありつつも陸地との距離が近く、生活インフラが整っている点に満足しているようです。また、島内にある施設が密集しており、行政施設も親しみやすいと話していました。

姫島村の紹介③ Ruby開発 天辰幸洋氏(姫島ITアイランドセンター長)


続いて、株式会社ブレーンネットと同様に姫島へと進出した、Ruby開発株式会社の天辰センター長が登壇されました。姫島では、以下の3つの制約があるようです。

①移動に時間の節約/無視できないお金が発生する
②欲しいものが買えるとは限らない
③人と会えない

しかし、こうした制約があっても、改善できると話していました。というのも、①の移動にかかる時間や費用の面であれば、公式LINEでフェリーの時間を通知することで、利便性は高まります。また、②の欲しいものが手に入りにくい点でも、「ないなら作れば良い」というマインドの醸成に繋がるのです。そして、③は島外の人と会いづらい点で言えば、人と会わないことで得られる利点に気付かされるそうです。
確かに、人と会うことに気苦労を感じる方もいるしょう。時間がゆっくりと流れる姫島だからこそ、体感できるメリットに目を向けても良いかもしれませんね。

対馬紹介 小宮大輔氏(釣り人)


今回のワークショップでは、姫島以外の離島に住んでいる方の話も伺えました。
小宮大輔氏は長崎県の離島・対馬の釣り人であり、津島市の地域おこし協力隊の一人。2拠点暮らしを実践しながら、WebやSNSを使い対馬の観光PRなどを行なうほか、音楽やデザインにも精通しています。小宮氏が対馬で感じる制約として、国境にある対馬は日本本土から遠く、当たり前のファシリティが整っていない点を挙げました。
一方で、大陸から伝来した日本初のものが多く、インバウンド客の誘致に可能性があるのは対馬の魅力だそうです。対馬観光に力を入れており、観光素材の写真撮影では、一眼レフだけでなくドローンを使っています。また、地域の食やハンドメイド雑貨と出会える「つしままるしぇ」のほか、デザイン会社を運営し、島にいながらでもWeb制作やグラフィックデザイン、映像制作などを手がけているようです。島民の方を対象に、YouTuber向けクリエイティブサポートも実施しています。

五島列島紹介 白石洋一氏(合同会社yellow)


対馬に続き、長崎県にある五島列島の福江島に移住した白石洋一氏が登壇されました。長崎市から約100kmの位置に連なる五島列島では、移動にかかるコストが大きく、島内の仕事が少ない点を問題視しています。また高齢化が進んでおり、解決の糸口を模索しているようです。
そんな五島列島ですが、移住してみると生活コストが下がったほか、空港が近くにあるため福岡との往来に便利になったこと、そして家族と過ごす時間が増えたことが魅力的。さらに、島内に住む人があたたかく、山や海といった自然に囲まれる生活に満足しているそうです。

甑島紹介 山下賢太氏


鹿児島県にある離島・甑島で「東シナ海の小さな島ブランド株式会社」を立ち上げた山下氏は、同島の出身者。競馬学校を中退後は漁船の乗組員となり、京都の芸術大学を卒業し同社を立ち上げたそうです。東シナ海の小さな島ブランド株式会社は、社員が10名ほどですが、17の事業を総出で回しています。他拠点滞在ホテルや古民家再生ベーカリーなどを運営しているほか、鹿児島離島文化経済圏「RITOLAB」というプロジェクトを立ち上げました。
人と地域をオンラインで繋ぐ取り組みは、姫島にも通じる部分がありそうですね。

【第2部】ディスカッション


第1部では離島の抱える課題点や、離島ならではの魅力について様々な視点からお話をいただきました。続く、第2部では「離島だからこそできること、離島でしかできないこと」〜制約を魅力に変える〜をテーマに、ディスカッションを実施。ディスカッションの内容は書くと膨大な量になるので、ここでは割愛させていただきます。
最後に、今回のワークショップを通じて参加者がどんなことを感じたのか、またどういった可能性を見出したのか、それぞれ紹介します。

①上田健次氏
(NECソリューションイノベータ株式会社 九州支社第3グループシニアプロフェッショナル)

事業内容

顧客のところへ伺い、一緒に課題を解決する「共創チーム」。現場から課題を抽出して解決までサポートしています。

本日の会のご感想

参加して良かったです。
地方でいろんな課題が出てきている中で、IT企業から見たら良いものを発掘して表に出すことで経済を回していますが、「何もなくて良いじゃないか」という視点をもらえました。「自分の島が好きだ」と言って交流人口が増えると良いですね。
また、大きなテーマパークなどは必要なく、共感できる人が増えればと思いました。普通の時間や日常を共有できることができると良いですし、「日頃の何もない生活の中に感動があるのでは?」と思いました。

姫島あるいは離島との今後の関わり

IT企業なので、「病院がないところもIT診療などができる」「都会じゃなくてもリモートでできる」といった仕組みがあると良いと思いました。ITは高いのでマネタイズの面は大変ですが、国がそこを担保するなど、政策面でのサポートがあれば良いと思います。

②徳賀進哉氏
(株式会社シティアスコム 課長/営業企画部)

事業内容

顧客から要望あったアイデアを実現する「システムインテグレーター」。学校法人向けの会計パッケージや、クラウドのコミュニケーションツールを展開しています。

本日の会のご感想

離島は馴染みがありませんでしたが、離島ごとに性格が違うことを知りました。それぞれの離島で課題が異なるほか、地域創生なのでハードルが高いことを感じました。

姫島あるいは離島との今後の関わり

ITの仕事をしているので、ITを通して町おこし、島おこしに協力したいと考えています。
その「場」で何かおこす必要があり、離島ならではの優位点や産業を活かして事業にする必要があると感じています。また、島単独でやるのではなくて、横で繋がることは必要だと思います。

プレイベントの終わりに

「シビックテックと島テック(Code for Fukuoka × Code for Islands)」をテーマに、姫島や他の離島が抱える問題点を共有しました。実際に離島に住んでいる人ならではの視点は、それぞれの参加者に通じるものがある一方で、島ごとに異なる部分もあったようです。

しかし、コロナ禍でニューノーマルが叫ばれるようになり、これからの働き方が大きく変わってくるでしょう。今回のプレイベントに参加された方をはじめ、離島で生活をしている方の中には、ITを活用してリモートワークを実践している方もいます。

今後の新しい働き方として、「離島での生活」により注目が集まる日は近いのかもしれませんね。