Collaboration Network

 

日時:2003/02/23 Sunday 10:00am-12:00am

場所:米水栄二津村地域活性化センター

目的:大分大学公開講座(米水津塾・大野路夢魅塾)および修了式

報告者:ハイパーネットワーク社会研究所 青木

 

    はじめに

大分県における「豊の国ハイパーネットワーク」の構築も着々と進められており、58市町村がすべてネットワークで結ばれる日も近い。しかし今回の公開講座のケースのように会場までネットワーク化されていないことがあるかもしれない。そういったファーストマイル問題に対して、今後いかに対応していくのか?

米水津村では、平成13年に村営のケーブルテレビ網が張り巡らされて、既にインターネットサービスも行われている。豊の国ハイパーネットワークは村役場まで接続されており、接続ポートは役場内のケーブルテレビ施設の中にある。村役場から今回の会場となった地域活性化センターまでは、主要施設であるにもかかわらず、光ケーブルではなく同軸ケーブルのみの敷設であり、インターネット接続がされていなかった。

公開講座は今回が最終講義であり、併せて修了式が行われた。講義では豊の国ハイパーネットワーク上のビデオオンデマンドを活用し、修了式ではテレビ会議システムを利用することで、大分大学学長からのバーチャル修了証書授与式が行われた。これらのことを実現するにあたって必要とされたのが、ブロードバンドアクセスである。会場から大分大学や豊の国ハイパーネットワーク、そしてインターネットへのアクセス手段が必要とされた。問題となった村役場から地域活性化センターまでの約300m。時間もない中でのファーストマイルソリューションとして、全二重100Mbps通信を可能とする光無線を試してみた。

 

    ネットワーク構成

テキスト ボックス: IDCテキスト ボックス: 佐伯POP

 現在、大分データセンターを中心に大分大学と大分県庁は、豊の国ハイパーネットワークによって結ばれている。さらに県南地方に向けては、佐伯総合庁舎のPOP(アクセスポイント)を経由して米水津村役場へと接続している。

 米水津村役場2階の村営ケーブルテレビ施設内に豊の国ハイパーネットワークのスイッチがある。そこからベランダへイーサケーブルを配線して、光無線装置は写真1のように、ベランダの側壁に接して設置した。対向側は当初会場からでも見通しがきいたため屋内に設置を試みたが、高さが低く、通過するトラックなどの障害が心配されたので、地域活性化センターの隣にある農協の屋上を借りることにした。地域活性化センターは平屋、丸屋根であり、仮設置は困難だったためである。写真2のように、こちらもなるべく端の手摺に近づけた。端に近づけるのは装置の前を人が通らないようにするためである。無線環境としては見通し良く障害物もなく、レーザービーム幅も十分であった。

農協の屋上からはイーサケーブルを直接地域活性化センターの窓へ引き込み、窓の近くにスイッチを設置することができた。会場ではスイッチから、大分大学とのテレビ会議システムやビデオオンデマンドのためのパソコンへ接続を行った。写真3が会場の様子である。

 

 

 

 

 

 

 


           写真 1                 写真 2                 写真 3

    光無線について

今回使用した光無線装置は、韓国Aerocom Inc.製*1のものである。日本では福岡のニシム電子工業が総代理店となって販売を行っている。この光無線装置を利用したネットワーク実験*2が、2002年8月から2003年3月まで福岡市の百道地区において行われている。

光無線装置については、キヤノンなど光学系の日本メーカー数社が製品を出している。今回使用したものとの大きな相違点はコストである。では品質はどうなのか、豊の国ハイパーネットワークとの適合性は? という検証も踏まえて試してみた。

下表に装置の機種と仕様を示す。

通信距離タイプ

200m

600m

1000m

伝送速度/モード

100Mbps/全二重方式

通信インターフェース

Fast Ethernet

ビットエラーレート

1×10-9以下

気象条件と

伝送距離

5dB/km

1200m以下

2400m以下

3000m以下

18dB/km

600m以下

1200m以下

1500m以下

 

28dB/km

400m以下

800m以下

1000m以下

58db/km

200m以下

400m以下

500m以下

送信機

光源

GaAIAsレーザダイオード

波長

785±10nm

出力電力

5.5mW

10mW

10mW

ビーム拡散度

4mrad

1.7mrad

1.5mrad

ビームサイズ

0.8m

1.2m

1.5m

安全クラス(目)

クラス1

レンズの直径

12mm

50mm

50mm

受信機

受光素子

SiAPD

受光許容範囲

10mrad

5mrad

2.5mrad

受信許容レベル

-43dBm

レンズの直径

30mm

50mm

75mm

インター

フェース

適用ケーブル

UTP(カテゴリー5)

コネクター

RJ45

許容ケーブル長

MAX100m

使用環境

動作温度

-30℃〜+50℃

保管温度

-30℃〜+80℃

湿度

90%以下(結露なし)

ハウジング

全天候型

構造仕様

寸法mm(W/H/D)

120×75×250

132×83×351

171×137×397

重量kg

1.8

3.7

9.1

耐性

IP66(屋外防塵,防水)

材質

アルミニウム電解処理

入力電源

電圧

AC 85V〜264V  50Hz/60Hz

消費電力

10W

バックアップバッテリー

5時間

今回使用したタイプはデモ専用機だったため上表の販売機種ではなく、500mタイプのものであったが仕様はほぼ同じである。調整により対向距離を約300mに設定した。実際の設置におけるポイントは、固定を確実に行うこと、レーザーをビームの中心に置くことである。焦点を合わせるには、レーザービームを目視して、上下左右の微調整を繰り返すだけで非常に簡単である。また装置はいたってシンプルであり、ランプ表示で電源とリンク状態とデータ送受信状態が確認できる。

現場で問題となったのが、CRCエラーが発生することであった。インターネット接続では分からないレベルだが、映像や音声伝送となるとシステムへの影響はすぐ分かってしまう。原因は光無線装置を台座に取り付けているネジの緩みという単純なものであった。通常は触らないところだし、気がつかない箇所である。これを締めることでCRCエラーの発生はなくなった。装置のわずかな揺らぎが与えた影響は、ネットワーク上に的確に現れた。

タグ付きVLANへの対応については、明確な答えを得ることができなかった。同光無線機器は、メディアコンバータのようなものでパケット長は見ていないのではないかと想定できる。今回のシステムを動かしたところでは、タグ付きVLANのはっきりした影響は認められなかった。しかしメーカー側の説明では、次期バージョンよりSNMPなどの管理機能を付加して、タグ付きVLANにも対応するとのことである。

 

    むすび

大分大学のコンテンツとテレビ会議システム、大分県のネットワークインフラ、そして企業のファーストマイルソリューションという、協働するネットワークは問題なく稼動した。またそれぞれの立場からの意見やアイデアが反映されて、より確かなネットワーク構築へとつながるものと考えられる。自治体の自営ネットワーク構築が増えてくるに従い、今後はこういったコラボレーションネットワークも増えてくるだろう。

しかし、先に述べたトラブルに対処すべく障害切り分け作業を行っていく中で感じたのは、協働するには、プロジェクトマネージメントをこなす調整役が必要であるということだ。それは今後も検討すべき課題として、取り上げていかなければいけないものである。



*1 http://www.aerocom.co.kr/IMAGE/english/index_1.htm

*2 http://ns.momochikara.com/