企業交流イベント<第2回>東京プレイベント(11/26)の開催内容



いろいろな人がいるから面白い

 姫島を舞台に進められている「ITアイランド構想」をより高いレベルで実現するため、2020年11月26日(木)に東京プレイベント②として、Design For NEW-NORMALプログラムで姫島イベントについてダイアログしました。
 このオンラインプログラムは、コロナ情勢をきっかけに、いま求められているNEW-NORMALへの変容。しかしこの”NEW-NORMAL”って何か?このグループでは、コロナ後を予測するのではなく、この先のNEW-NORMALをどうデザインし、実現していくかを対話し、実践することを意図しています。同じくDesign For NEW-NORMALプログラムとして10月29日(木)に開催された、東京プレイベント①「私たちは世界を変えられる」から始まっています。


12月8日 姫島ワークショップの概要
 

▲青木栄二氏(ハイパーネットワーク研究所所長)

 これまでオンライン開催した東京プレイベント①、そしてコワーキングスペースでリアル開催した福岡プレイベントは、12月8日(火)の姫島ワークショップへと繋げるために開催したものです。今回の東京プレイベント②もそうですが、単純な姫島イベントの広報ではなく、共生するということをテーマとしました。
 ポスト・コロナの現代に合ったワークスタイルやライフスタイルをいかにデザインできるのか、世代や肩書きの異なる人々がアイデアを出すことで姫島にどう繋がるのでしょうか。


多様性と包摂性で築く成長する共生社会


▲百田牧人氏(住友生命情報システムデジタルイノベーション推進室)

 最初に登壇した百田氏は、住友生命に籍を置きながらも、お子さんが先天性の視覚障がいを持っていることから「障がい就労のあり方」に関心を持った方です。現在は就労の新しいモデルを生み出すため、2019年に訪れたシンガポールの現地パートナーと共にTomoWorkに取り組んでいます。


多様性と包摂性とは

 ダイバーシティとも言われる「多様性」とは性別や国籍、LGBTといった属性が多様であることを指しています。一方で、包摂性とは様々な属性が排除されずに統合された状態のことです。障がい者の雇用や女性の社会進出などがイメージしやすいかもしれません。
 SDGsにも取り上げられているように、多様性と包摂性は全世界でも重要なテーマとなっており、人種差別や性差別などは社会的に議論を呼んでいます。すでに多様性と包摂性を企業戦略に盛り込んでいる企業は増えてきていますが、この実現は容易ではありません。たとえば、視覚に障がいがある方と、聴覚に障がいがある方を交えて会議をすると、なかなかスムーズに進みません。しかし、百田さんが言うには、前提として「実現できるんだ」というマインドがマネジメントに必要なのだそうです。


包摂性のある就労の実現に向けた取組み

 TomoWorkでは障がい者や企業へのインタビューを行い、それぞれの課題点を抽出しました。障がい者にとっては、求人に応募しても落とされたり、職を得ても配慮のない環境で辛い経験をしたりする方がいるようです。また、企業からすれば多様性の重要性を分かっていても、環境整備のために投資が必要など、難しい現状があるようです。
 こうした背景から、TomoWorkでは「スキル開発」や「場所」「働き方」にフォーカスし、障がい者と共に新しい評価制度の作成などに取り組みました。トライアルの実施後、政府関係者から障がい者雇用の話が来たこともあり、TomoWorkでは、さらなる発展のために障がい者採用のプラットフォーム作成などにも取り組んでいるようです。
 多様性と包摂性は、これからの社会に必要な要素の一つであり、姫島も例外ではありません。実現が困難なものであっても、ひとつひとつ課題をクリアすることで、健全な社会が醸成されるのではないでしょうか。


まぜこぜ社会は成長のエンジン
 

▲秋山愛子氏(国連アジア太平洋経済社会委員会・エスキャップ)
 
 続いて登壇したのは、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の秋山氏です。62の加盟国の経済社会を発展させるための取組みに尽力しています。百田氏と同じく、秋山氏も「国連ではインクルージョン(包摂性)のある社会が社会開発に必要なポイントだと位置付けている」と話していました。
 このインクルージョンとは、人間ひとりひとりが「自分は社会の一員」と感じられる社会を目指すための指針です。
インクルージョンの例として、法整備などによって人々の平等性を確保したり、社会保障を整備したりといったものが挙げられます。このほかにも日常に潜むバリアなどを取り去ることも含まれています。
 実際にインクルージョンはこれからの社会成長に必要と考えられています。人口成長率の減少や高齢化の影響もあり、高齢者は何らかの生きづらさを感じているのです。インクルージョンが実現されれば、社会に隠れた人材の発掘や、多様なマーケットに対応できる可能性が潜んでいます。
 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)では組織内の障がいインクルージョンを進めるほか、防災教材の開発、障がい者権利条約の各国実践調査なども行い、一歩ずつインクルージョンの実現に動いているのです。


日本での課題

 海外での様々な事例を見てきた秋山氏は、日本のインクルージョンの課題として「緊急時の電話番号の共通化」と「病院内のWi-Fi」を挙げました。病院内のWi-Fiでいえば、オリンピックの開催に伴い、外国人選手が国内の病院を利用することも少なくありません。しかし、病院内にWi-Fiが整備されていなければ、母国の家族に連絡することは困難です。世界では通信インフラが整備されている一方で、日本の病院ではまだまだ遅れています。誰もが利用しやすいサービスを提供することが、社会の発展のために重要なのでしょう。


グローバルとローカルを繋ぐ


▲デニス・チア氏(BOUNDLESS代表)

 シンガポールで生まれ、日本の大学・大学院を卒業したデニス氏は、英語・日本語・中国語を話せるマルチリンガル。これまでに、起業や転職を経て電気自動車の事業を行うベンチャーに入社した人物です。
 デニス氏が行なっているのは、グローバルとローカルを繋げること。地元の方との交流を図りつつ、地域の魅力発掘や課題点の抽出、そして課題解決の提案を行なっています。これらの経験を世界に発信することで、地方創生をグローバルな視点で再評価し、広く還元しているようです。北海道の十勝地方では食料問題について学び、「なぜ食料自給率が低いのか」という視点で地域の方々と一緒に考えました。
 そのほか、林業の盛んな北海道の下川町ではバイオビレッジという循環型社会について、留学生と共に「下川町の魅力をどう発信するか」を考えたようです。こうして学んだ知見を海外に発信できるよう、日本に住んでいる外国人が英語で記事を書き、地方創生に貢献しています。


ローカルをグローバルに発信する取り組み

 また「100 Faces of Yokohama」と題し、国籍や文化が異なりながらも横浜に住む方100人のストーリーを一冊の写真集に収めました。ここには、文化だけでなく障がいを持った人や戦場で生まれ育った人、難民だった人などのストーリーが記されています。デニス氏は「日本の課題は世界の課題」と捉えており、留学生と地域を繋いだり、地域の魅力を外国人と共に世界に発信したりといった活動を行なっています。グローバルな視点を持ちつつ、ローカルな活動を行うことが、これからのニューノーマル社会を発展させるヒントになるかもしれませんね。


イベントの終わりに

 東京プレイベントの2回目となる 今回は、「いろいろな人がいるから世界は面白い」をテーマに3名の登壇者にお話しいただきました。ダイバーシティを受け入れる社会にこそ、成長や可能性が眠っており、これらを解決する一つの手段としてデジタルの活用やデザインがあります。今後の社会を考える上で、多様性と包摂性の考え方は重要なベースとなります。
 12月8日本番の姫島ワークショップでは、どんなアイデアが生まれるのでしょうか。